「おまえ、先生に言うなよ」
オレ「俺がそう言われて、先生に言わんと想うか」
学校のクラスメートが話の後にそう言ったのだ
「何、そんなこと言われたんか」
「それで、それを聞いてるんか」
「ほっとけよ、そんな奴」
「こう言うとってくれ」
「やーいやーい、先生に言うたろう~」
「って、嬉しそうに言うとったって」
両手を幽霊の様にだらっと垂らして
上にもち上げ左右に振りながら
「こんな感じや」と腰を捻って見せた
「な、な、おまえ、俺がそう言われて」
「先生に言わんとこうと想うと想うか」
いや想わないとかぶりを振る
「オレ、警察にでも言うでな」
「一人で言いにいくでな」
「そうやろ?」
「もう、そんな奴、相手にすんな」
その子「でも怖いで、何々さん」
「おまえやられるで」
オレ「かかってこいよ、一人で」
「そしたら先生には言わんわ」
先生に言わんって?
授業中に一々と
その先生が言う事と教科書の内容に
噛み付いてる俺を知ってる同級生が
そう言ったぐらいで黙るはずがない
と知ってるんだよ
「俺が先生に言わん何かありえへん」
「そゃろ」
そしたらクラスの違う子が数時間後か
「おまえ、何々さんが」
「先生に言うなって言うとったで」
オレ「なに?おまえまでそんな事
言いに行かされとんの?」
「誰なんそれ」
その子は学年でナンバー2とか順番を
自分で振ってるおめでたい奴らで
『何で自分に自分で番号をつけるのか』
と想ってる喧嘩の強いやつらだ
さっき話してたのは学年一だ
そいつ大人しいからそいつより好きだ
今度のは尖ってて一々と突っかかる奴
オレ「何、びびっとんねん自分で来い」
「先生に言うたるから」
「先生ぐらいでびびるなよ」
「おまえまでそんな使いすんな」
「言うとってくれ」
「俺が言うなで言わんと想うか」
その子もクラスが同じになった事ある
みんな知ってるんだよ
授業中ずっと独り言を言って笑わせて
授業の内容に文句つけてるお爺ちゃん
が日向ぼっこしてる様な存在だって
そいつに遭ったのは
それよりもっと数日前だ
道を歩いていたら突然、絡まれた
オレは背が高く目立つ
『これが絡まれるって事か』
自分を俯瞰してみてる
ニヤニヤしながら
棒立ちのオレの周りを回りながら
「おまえ怖いンやろ」
オレ「おまえが?」
「いや、全然」
気が付くと遠めに気の弱そうな数人
「あかんて、そいつ」
「全然、ビビッて無い」
ニヤッと笑って
余裕そうに「まあ、見とけ見とけ」
そう言って僕の体を観察してる
「少し震えとう」
『これは体がスイッチ入れてるんや』
いわゆる武者震いというやつ
{確かにオレは体が小刻みに震える}
アドレナリンが出て逆に冷静になって
体が小刻みに振動して暖気に入ってる
{それこそ武者震いなんだよ}
『これはそうや、けど関係ないんや』
遠目から声がある
「○○、やめときって、そいつ」
「まあ、ええわ、おまえ何中や」
答えると2年かと聞くから頷く
誰々とかやなと
知ってる名前を数人挙げると
「まあ、ええ、そいつらに言うとく」
『何を言うとんや』
そう、その時は想っていたんだが
本当に{そいつらが}言いに来たんだよ
それが言いに来た内容が
「先生には言うな」だった
オレは心底あきれて馬鹿にした
だからそう言いに来た奴らにも
本当に情けない顔をしかめて
「そんな事を言いにこさされるなよ」
「誰やそれ」
「なんかヤクザとかにもつながりがある
この辺で誰でも動かされる人や」って
オレ「そんで、そいつは来えへんの」
イヤイラしながら続ける
「一人で来い」
「学校が違うなんか関係あるかい」
一人で入って来い
そんなん来られへんでと言うその子に
「俺もそれ、出来ひんと想うか」
「そいつに言うとけよ、来いって」
「先生の居る時に」
僕はその番号の群れには居なかった
気の優しい子供と馬が合った
何時もジャレていて冗談を言って
最後は落ちをつけてぇ
『笑わせないといけないんだ』との
強迫観念に支配されてた
何時も団体で休み時間にトイレに行ってた
{つれション}ってやつだよ
ある日、その集団でトラブルが起こった
「ガシャン」ガラスが割れた(後ろの方で)
見ると図書室の前にある掲示図書のガラス
割れていたんだ
友人の一人が血を流してる
『何処か切ったみたいだ』
母が
「あんた、謝りに行くで」用意しなさい
オレ「ええ、なんで、俺は悪無いで」
「でも先生が謝りに行けって言うてるよ」
オレ「なんでえ」
「先生が、親御さんと謝りに行ってくれって」
オレ「えー、マジで」「行かんとあかんの?」
「マジかあー」「一緒に行ってくれんの?」
「ほな、しゃあないな、行こうかあー」
「ごめんなあー、何か」「俺、悪無いで」
玄関を入る やりきれない
色んな感情が沸き起こるけど追い払う
「この度は、息子さんに怪我をさせてしまって」
「すみませんでした」
母「あの、つまらないものですけど、これ」
「この子なん?」
怪我をした子のお母さんがその友達に尋ねる
友達が体も小さくなって縮こまり
階段の向こうの部屋から体を半分出して頷く
しばらくやり取りをしてると
友達のお母さんはオレが不満を抱えてるのを
見抜いて尋ねた
「自分は悪くないと想ってる?」
オレ「いや、そんな事は無いねんけど」
「先生がおまえが悪い謝りに行って来いって」
言うし…それなら…誤ってそれで…丸くすむ…
最後のほうは何やらゴニョゴニョ…と言う
「どういうことなん」
「いいから言うてみなさいよ」
「何があったの?」
再三、尋問されて
それでやっと俺も重い口を開く
オレ「いやあ、トイレ行ってン」「つれション」
「何時もの」
「みんな着いて来てん」
「それで加藤が抱きつくねん」
友達の母「何で加藤君は抱きついたの」
オレ「いや、ふざけて」
「○○(←オレ)~って」
「そしたら、その次にまた誰か抱きついて」
「それに誰かが抱きついてん」
「それで、ずーっと、みんなが抱きついて」
「7、8人かなあ」一列になった
「うあ、やめてくれって」
「で、も、離せへんねん、加藤」
「で、暴れとったら」「一番後ろのほうで」
「ガシャンって」「○○が怪我してん」
友達の母
「え、その7人目?8人目か?がうちの子?」
うん、と頷く
「それで自分はあんまり悪くは無いと思ってるのね」
うん、と頷く
女の人たちがオレにする尋問だ(何時ものだ)
関西圏のおばちゃんがする何時ものやつだ
(東のほう大阪寄りでは飴ちゃんが出てくる)
オレは子供の頃から習慣的に
その全部に正直に答えている
『それはそうしたものなのだ』
「それで、どうして謝りにきたの」
しどろもどろにオレは
「いや、謝りに行けって言うし」
「怪我はしとんやし」
「先生は俺が悪いって言うし」
「それで丸く収まるんなら」
「俺が謝りに行ったらいいし」
「…だけど俺」
「あんまり悪無いと想うン」
「だけど…謝りに行ってそんな事…」
「言う訳にいかんし」
「本当なん」
半分、身を捻り}友人に彼の母が聞く
その友達が
さっきの半分ぐらいの大きさになって
うん、と頷く
「それなら、そう先生に言わんの?」
オレ「いや、先生はね」
「人の話、聞かへんところがあるの」
だいぶ打ち解ける何時もの俺の感じ
(先生にもタメ口だ)
先生「オレはおまえの友達か」って
歴代の先生から言われた何度かある
オレ「友達やン」「先生やけどな」
って奴だった
「なー、そうやんな!」
後ろの友達に話しかける
半分くらいの元の大きさに戻って
友達が「うん」と言い頷く
「その先生が謝って来いって」
「頭から」
「先生言い出したら聞かんし」
「俺が謝って丸くすむんなら」
「お母さんも一緒に行ったるって言うてるし」
「謝っとこうかなって」
「でも本当は、あんまり悪くないって…」
その時になって、ハッとした様に顔を上げ
「いや、怪我させてゴメンナサイ」
「ふ~ん、この子、友達なん」
半分ねじって友達に聞く
「そう、これからのお付き合いは…」
「考えさせてもらおうかと想ったけど」
『認めます』(言外だったか言ったのか)
「それじゃ、これからは仲良くして下さい」
「こんな事が無い様に…」
オレ「はい、」「すみませんでした」
って
そういう子だったのよ
気が優しくて、優しすぎて
そういう番号がついてる奴にイジメられる
そういうのが我慢なら無くて
割って入って庇ってた
だからそういう子らから好かれてた
そういうトイレについてくる子らを
その番号の奴ら
「○○(オレの←名前)軍団」
って笑いながら呼んでた
{そのうち一人が自殺した}
高校にあがってちりぢりだった後だ
僕は聞かされてショックを受けた
「女みたいだって相当イジメられてたらしい」
本当に優しい子だったんだよ
だからそんな
(女みたいだって言われたんだろう)
怒りに震えた
「誰や、誰が、そんなん」
その聞かせてくれた友人は僕がそいつに
何か言いに行ってややこしい事になると
恐れたのだろうか名前を教えずに皆やと
繰り返した「みんな、って、なんやそれ」
飛び降り自殺だったらしい
(だから自殺は許せない){母もだった
『僕が守りすぎたからだ、僕のせいだ』
何時もの様に自分を散々、罵倒した
僕の常だ
僕は完璧を常に目指してる
絶えなく考えてる
一秒も休まない
考えるだけなら何も時間も消費しない
常に平行して考えるから
複数の事でも平行して考えてる
頭はそう出来てる
人間の頭は彼方此方が同時に動いてる
だから習慣になれば眠ってても考える
眠ってる時の演算が返した値
{その答えがどれほど素晴らしいものか}
極値の回答だ
常に
自分に対して求め負荷を掛けてるから
外的ストレスに動じない
僕は自分を鍛えてきた
ずっとだ
傍目、見た目には何も変わらない普通だ
へらへら
親友は
「何時か折れる」と想っていたらしい
めんどくさい奴だ
実際、それで離れていった友人も居た
厳しすぎる(嘘を責めナジル)
『友人を裏切らない』燃え立ってる
肝心の友人は勘弁してと想ってる
そういう子だった
だからそのまま大人になった
『それだからパパに選ばれた』
最初はそう想ってた
違ったね
僕はそう生まれ着いてる
{これは魂の性質だ}
こう到らしめた自分自身で
『僕は何処までも僕だ』
「悪いことは一杯した」
ノリが悪い そんな事
、シラケルからしてはいけない
悪いことする時は一緒だ
僕は人間の屑で
ピッカピカに罪びとだ
{でも、これが僕なんだよ}
イイかっこしたくは無いが裸の僕だ
『僕は、もう、丸出しでいい』
カッコツケてるって想われていい
キレイ事を言ってると想われても
『そんな逝き方、誰も出来ない』
僕の友人と同じに皆も思うだろう
『今まもそんな生き方は出来ない』
そうなんだろう
けどね
「そう生きはじめてみるといいよ」
「これからでいい」
その魂に相応しい苗床に落とされる
次の生まれに
「子の全知全能を手に入れるといいよ」
そう生きれば
「今この時からだよ」
何度も挫けていい何時か到達すれば
「コッチ おいで」
はじめは出来る分だけでいいからさ
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